プロフィール
秘教おじさん(本名非公開)
70代独身。自称「アラセブの貴公子」。愛読書はアリス・ベイリーの本全般とコボちゃん。吉永小百合ファンを公言している。
居酒屋で知り合った若者をつかまえては、酒の肴にアリス・ベイリーについて語るのが生き甲斐。ウケを狙って手書きのマル秘Tシャツ(グンゼ)を着用しているが、誰もそこには触れてくれない。本と酒と孤独を愛する謎多きおっさん。
グラマーとは何か
ここは「秘教おじさん」いきつけの小さな居酒屋。今日もたまたま隣に座った20台後半と思しきビジネスマン風の男性と、カウンターで酒を飲んでいた。
おじさん おい若いの、「グラマー」って知ってるか?
若者 グラマー?深キョン(深田恭子)のことっすか?
おじさん そっちのグラマーじゃねえよ。これだから最近の若いのはぶつぶつぶつ…。
若者 じゃあ、壇蜜?河合奈保子?それともアグネス・ラム?
おじさん 幅広い年代の閲覧者を意識した発言はやめなさいよ。そうじゃなくてな、「グラマー」とは、真実を覆い隠す幻惑のことだ。
若者 幻惑?
おじさん そう、幻惑。マボロシだな。現代人のほとんどはアストラル的で、このグラマーの中が現実だと思って錯覚して生きている。特に情緒的な日本人はこれに陥りがちだ。
若者 僕たちが?って言うか、「アストラル」ってなんすか?
おじさん そこからかよ。アストラルとは、簡単に言えば感情や情緒をつかさどるエネルギーのことだな。悪いことに、人間は「グラマーの霧」の中にいることにさえ気がついていないものだ。
若者 感情…グラマーの霧ですか。わかるような、わかんないような。まあ確かに、ストレスたまってくるとイライラしたり、怒りを押さえきれないことはよくあります。そんな時は考えるのもイヤになるなー。
おじさん ふふふ、誰もが似たようなもんさ。ワシも若い頃は怒りに任せてカミナリ族の大群に立ち向かい、この鉄の拳を幾度となく振り回したものだよ(チュッ)。
若者 へー。角ハイうまー。
おじさん あと、自己憐憫なんかもよくみるグラマーだなぁ。
若者 えっと、じこ…なんて読むんすか?
おじさん じこ憐憫だ。
若者 いや、そっちじゃなく。絶対わざとでしょ。
おじさん 失礼、自己憐憫(じこれんびん)。自分をかわいそうと憐れむような、同情を求めるいじけた心のことだな。
若者 あっ…
おじさん これも思い当たるようだな?例えばそう、自己啓発の古典、デール・カーネギーの『人を動かす』でも、「自己憐憫はクソほどの価値もないから食べ残しのミートパイと一緒に生ゴミの袋にぶち込んで火曜日の午前8時までに捨てやがれ!」と書いているんだぜぇ。
若者 読んだことないですけど、確実に話を盛ってるのだけはよくわかります。
おじさん 実際はな、自分自身が「私」と思っている自分でさえ、グラマーであることの方が多い。
若者 え?私以外私じゃないの?
おじさん さらに、「これが自分の美徳」だと思ってるものさえ、グラマーの可能性があるということだな。当たり前だけどね。
若者 美徳がグラマー?ちょっと何言ってるかわかんない。
おじさん たとえばそう、奉仕。これは語弊があるかもしれんがな、わかりやすいところだとボランティア活動とかな。
若者 え、立派な行いじゃないですか!それこそ「美徳」でしょう?僕だって自治体のボランティアに参加することはありますよ!
おじさん 語弊があるかもと言ったろう。じゃあその動機って、どこからくるもんだ?「ボクちゃんめっちゃいいことしてるしん♪」って思ってないか?
若者 そりゃあまあ、正直少しは思いますよ!いいと思ってないとやれないし、やらない人間は人としての優しさが欠如してます。
おじさん ほら、それだよ。
若者 え?
おじさん 奉仕活動そのものは立派だし、必要なんだ。ただお前さんは、その活動が誰の目に触れられなくても、やらない人を批判せずに黙々と同じことができるか?
もっと言えば、その活動が周囲からの誤解を生み、友人が離れ、蔑まれるようなことになっても信念にしたがって継続することができるか?
反対に、その活動がどれだけ世間から注目され賞賛されようとも、評価など意に介さず淡々と歩み続けることができるだろうか?
若者 それは…
おじさん 動機の純粋さは常に注意していなければいけないんだよ。今言った、「信念」の中にでさえ、不純物(グラマー)がないか点検するんだ。
若者 純粋さですか…。
おじさん 純粋な奉仕ほど尊いものはないからな。
若者 うーん、奥が深いですね。他にはどんなグラマーがあるんでしょう?
おじさん それには、ワシの言葉よりこれを見てみよう。たしかカバンに入れてたはずだ…。おっ、あったぞぉ。『トランス・ヒマラヤ密教入門!』どうだほれ、泣く子も黙る怪しいタイトルだろう?
グラマーの名前には次のようなものがある。
1. 宿命というグラマー
これは、これに支配されている者に対して、あなたには行うべき仕事があり、語り働く宿命があると指示するグラマーである。これは事実に根拠のないプライドを育てる。
2. 熱誠というグラマー
このグラマーに条件づけられている者は、光に向けての自らの熱誠に満足し、それに心を奪われ、自分が熱誠家であるという事実に安心する。
このような人々には、弟子の道へとさらに前進して、霊的な野心と目標への没頭と満足をやめる必要がある。
3. 自信というグラマー
これは弟子のアストラル原理と呼んでもよいグラマーである。また、平易な言葉で言えば、自分の視点が絶対に正しいと見なす信念である。
これもまた、プライドを満足させ、自分が権威であり絶対的なものであると信じさせる傾向がある。神学者のバックグランウンドになっているのはこのグラマーである。
4. 義務というグラマー
これは責任感を過剰に重視させ、無駄な活動と重要でないものを強調させる。
5. 周囲の状況というグラマー
これがしばしば、欲求不満、虚無感、無力感を生み出す。
6. マインドというグラマー
これは、マインドにはあらゆる問題に対処する能力と力量があると思い込ませる。これは必然的に孤立と孤独へと導く。
7. 献身というグラマー
これはアストラル体への過剰な刺激に繋がる。このグラマーに惑わされている人々には、一つのアイディア、一人の人物、一つの権威、真理のある一つの面しか見えない。これが狂信と霊的なプライドを増大させる。
8. 欲求というグラマー
これは肉体の反射作用を伴い、絶え間ない戦いと混乱の状態を生み出す。これはすべての平安と効果的な働きを台無しにするもので、このような状態はいつの日か終わらなければならない。
9. 個人的な野心というグラマー
アリス・A・ベイリー『トランス・ヒマラヤ密教入門 第1巻 – 人間の本質』p.172
若者 宿命、熱誠、自信、義務、周囲の状況、マインド、献身、欲求、個人的な野心…。グラマーっていたるところにあるんですね…。
おじさん これら以外にも、多くの個人的世界的グラマーが、その目を霧で覆い、世界の本質を歪んで見せているんだ。そして現代を生きるワシたち人類にとって、感情を浄化し、このグラマーの克服をすることが最重要テーマのひとつなんだ。
若者 感情の浄化…。グラマーの克服…!
おじさん おっといかん、もうこんな時間か。じゃあ、ワシは録画した『水曜どうでしょう』を見るので、そろそろドロンするよ。おねえさん、おあいそー!
(ドサッ)
若者 あれ?おじさん、なんか本が落ちましたよ!これもアリス・ベイリーですか?随分と読み込んだ本ですね〜。どれどれ。
おじさん あっ、ダメよそれは…
若者 ふ…深田恭子写真集……。
おじさん・若者 グラマーーーッッ!!!
つづく?
参考・引用
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トランス・ヒマラヤ密教入門〈第1巻〉人間の本質Ponder on This
アリス・A・ベイリー(著)、アート・ユリアーンス(編)、土方三羊(訳)/アルテ (2002/3/1)
アリス・ベイリー入門―エソテリシズムとは何か
土方三羊(著)/アルテ・新装版 (2006/2/1)
アリスベイリー 『グラマー 幻惑と錯覚の克服』『ホワイトマジック』AABライブラリー
D・カーネギー 人を動かす 文庫版
深田恭子 深田恭子写真集 AKUA