アリス・ベイリーの生涯(その1)

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存在そのもので癒す、エソテリック・ヒーリング。秘教を学ぶにあたって、著者であるアリス・ベイリーの「ひととなり」はぜひ感じておきたい。

『アリス・ベイリー入門』を参考に、アリスの生涯について(妄想も交えつつ)書きました。

アリス・ベイリー入門

アリス・ベイリーの生涯

アリス・ベイリーは、1880年6月16日、イギリスのマンチェスターで、アリス・ラ・トゥローブ・ベイトマン( Alice La Trobe-Bateman)として生まれた。日本では明治13年に当たる。

アリスが9歳になる前、両親が結核でこの世を去る。両親は亡くなったが、裕福な家庭であったため何不自由なく育った。

しかし、アリス自身は物質的に恵まれていた少女時代を振り返り、惨めさと悲しさ、孤独に苛まれた日々だったと述懐している。実際に、何度か自殺も試みている。

最初は祖母に、のちに叔母によって妹と共に育てられる。厳格な家庭教師がつき、一日中さまざまな訓練を課された。この訓練は、アリスの後の人生にとって非常に有益だったと述べている。

ファーストコンタクト

1895年6月30日、日曜日の朝のことである。アリスは15歳の思春期まっただ中。人生になんの価値も見出せず、悲しみと苦痛の中を過ごしていた。

一人読書をしていると、部屋のドアが静かに開いた。そこには、ヨーロッパ風の服を身にまとった、頭にターバンを巻いた長身の男が立っていた。

謎の男

※あくまでイメージです。

アリス:「!?」

その男性は、静かに口を開いた。

ターバンの男性:「君にはやるべき仕事がある。しかしそれを行うには、気性をまるっと変え、自らを統御しなければならない。」

アリス:「ファッ……!?」

ターバンの男性:「君が将来役立つかどうかは、君が君自身をどう扱うかにかかっている。」

それだけ話すとその男はすっと立ち上がり、ドアの前で立ち止まった。そして一分ほどアリスを見つめたあと、静かに歩き去った。

アリス:「ちょ、待てよ!」

アリスは何が起きたかわからず呆然としていたが、時間が経つにつれ恐怖におそわれた。気でも狂ったというのか、それとも夢でも見ているのか。

しかし、しばらくして落ち着きを取り戻したアリスは、「ふふーん♪」と独りよがりの満足感に浸った。

その後、アリスは以前のように不機嫌になることはなくなり、大人しくなった。その変貌ぶりたるや、「最近のあーちゃん、ちょっとアレよね…。」と、家族が心配するほど。

それ以降もアリスは、「ターバンの男性」の監視と注目を7年ごとに感じた。なお、男性の正体がわかるのは1915年、彼女が35歳の時である。

アリス、兵士保養所で働く

22歳までのアリスは、家族に守られ、人生に対する責任もなく気楽に生きた。

そんな日々を送っていたある日のこと、アイルランドにある兵士のための保養所の仕事を誘われ、働くことになった。社交界での生活に嫌気がさしていたアリスにとっては、自分の足で人生を歩む絶好のチャンスに思えた。

保養所ではカフェで食事を提供したり、施設内の福音集会室では聖書についての説明もした。最初は緊張のあまり逃げ出したこともあったが、数百人の男性相手に演壇も行うようになった。彼女にとってこの保養所は、もっとも幸せを感じられる場所となった。

しかし、アリスはアイルランドを離れることになる。インドにある兵士保養所の責任者の具合が悪くなったためだ。

インドへ。そして禁断の恋。

アリスは単身、インドへ向かった。若い女性が知り合いもいない異国の地へ行くのは、当時としては考えられないことであった。

1906年、アリスは持病の頭痛が悪化し、健康を損ない始めた。年齢のわりに多くの責任を背負い込み、心身の疲労はピークに達していたのだろう。

また、アリスは恋に落ちていたのも悩みの種となっていた。相手はウォルター・エバンスという兵士。兵士と保養所の職員という、社会的立場の異なる二人が一緒になるのは、『ロミオとジュリエット』のような許されぬ恋だった。

そんな生活を続けていたアリスは、ついに「もうイヤや〜こんな生活!」と、半狂乱の状態まで陥ったのであった。

ある暑い夜のこと、突如部屋の中に一筋の光が差し込んだ。同時に、15歳の時に会ったあの「ターバンの男性」の声が聴こえた。姿こそ見えなかったが、その優しい声は、孤独の中にいるアリスに語りかけてきた。

アリス:「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! 」

ターバンの男性(声のみ出演):「何も心配しなくても良い。君はちゃんとやってる。以前に述べた “ライフワーク” はまもなく始まる。しかしそれは、君が考えているようなものではない……。」

それだけを告げ、男性の声は消えた。現在の問題に対して、何か具体的な解決策などを提示することはなかった。

健康がますます悪化したアリスは、一時的に叔母がいるアイルランドへ戻った。そのとき、恋人ウォルター・エバンスについての話をした。それを聞いた叔母は、彼が神学課程を受講し、聖職者になるための必要な学費を全て用意してくれた。ええ話やないかい。

結婚・出産・DV

1907年、アリスは聖職者となったウォルター・エバンスと結婚し、アメリカへ渡った。二人の間に長女が生まれ、夫エバンスが小さな町の教会の牧師に任命される。

牧師の妻としての人生がスタートした。自分でも「聖書教室」を始め、大成功を収める事になる。しかしその頃、エバンスの短気が爆発し、家で暴れだすようになる。

健気に働く妻と、DV夫の分かりやすい構図である。妻に手を出し、彼女の所有物をことごとく破壊した。

1912年8月には次女が生まれる。エバンスの暴力は日を追うごとにひどくなり、「おいおい、あの家ヤバくないか?」とご近所さんにもバレ始め、牧師の仕事を失うおそれも出てきた。

アリスたちは夫に更生する機会を与えるため、別の教区へと移った。

しかし、三女が生まれる頃に事態はさらに悪化する。エバンスは精神的な検査をするため病院にも連れて行かれた。

「探さないでください。」

1915年、夫は出て行った。エバンスは別の教区での任務に向かうために、アリスの元を去ったのだった。三人の娘と、請求書の山を残して。

アリスは残された子供たちを育てるために、イワシの缶詰工場で働き始める。

その町にはたまたま、二人のイギリス人女性が住んでいた。彼女らが「ある集会」を開いているのを知ったアリスは、同郷の女性と仲良くなりたい一心で集会に出かけて行った。

アリスはそこで「神智学」との運命的な出会いを果たすのであった。

アリス・ベイリーの生涯(その2)へ続く

参考・引用

  • 土方三羊著『アリス・ベイリー入門 エソテリシズムとは何か』(2006) アルテ
  • アリス・ベイリー著『未完の自叙伝』AABライブラリー




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