「現代人の病気」を癒す治療薬は存在する。その薬の成分の多くが、未来の教育について書かれたこの本の中に見つかるであろう。そこで示される様々な原理を実施するのは人類自身の役目である。(中略)
(ベーコンの言葉を借りるならば)学問の進歩の大きな目的は、人間存在に関する四つの基本的な問いに光を投げかけることである。
- 人間とは何か。
- 人間が住む物質宇宙はどのようなものか。
- どのような進化過程によって人類は自然という母体から姿を表わし、現在のように自我意識のある創造的な人間になることができたのか。
- 宇宙や人間の性質についてある程度知ったとして、人間が自己進化を進めていくには、どのような社会が最も適しているのか。
これらの問いかけへの解答を追求し、学生たちが独自の解答を導き出すために必要な刺激と情報を提供するに際して、総合研究学部の教師たちは学問の融合に関する専門家という態度をとることはないであろう。教授陣は、関心を抱く学生たちと一緒に、統合を追求する者になるであろう。研究する科目がどのようなものになるかを説明するために、採用される可能性のあるものを以下に示す。
- 知識の社会学。
- 宗教、哲学、科学、芸術の相互関係。
- 情報理論、人工頭脳学、意味論。
- 科学の歴史と哲学。
- 民主主義的な政治理論の歴史と前提。
- 人間の福祉と進歩に対する、生物学、社会学、精神医学の貢献。
- 知識の統一。
- 原始時代の文化から現代の産業文明に至るまでの価値体系の進化。
このような科目すべてに求められる第一の必須条件は、通常の研究分野を三つ以上、相互に関連づけることである。このようにして学生と教授には、「生命を全体としてしっかりと見つめる」ヴィジョンを探求する勇気が与えられるであろう。
ジュワル・クール大師が提唱する、種子になる様々な原理は、よく耕され準備の整った土壌をこのような実験的な分野に見つけることになるであろう。
アメリカ合衆国ペンシルバニア州ピッツバーグ ピッツバーグ大学 哲学科
オリバー・L・ライサー(Oliver L.Reiser)
アリス・ベイリー『新しい時代の教育』序文 p.11-14
先日hontoで買った『新しい時代の教育』の序文(世界が危機に直面する時期に見られる教育の傾向)からの抜粋。この、1953年に書かれた文章にグイグイ引き込まれました。
中でも、「教師たちは専門家として教えるという態度ではなく、学生たちと共に統合を追求する者になる」といった部分。65年前とは思えない「新しさ」を感じます。ホリスティック!